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Is it American way?

クラシックは余り得意ではないのだけど、昨日はリンカーンセンターで開かれた"Mostly Mozart Festival"の初日に行ってきた。
といっても、実は無料チケット。
水曜日にぼくが仕事に行っている間に、妻が並んで入手した。なかなか情報集めがうまい。
ショー自体は、クラシックのコンサートに余り馴染みのないぼくにも楽しめたし、そもそも無料チケットなんだから文句なんかあるはずはない。
お代を払っていない観客のために、1時間以上にわたって緊張感のある演奏を披露した指揮者と楽団には、せめて惜しみない拍手が送られるべきだし、実際、ぼくもプログラムの演目が終了した瞬間、2階のバルコニー席、体を斜めにしないとステージを見ることができない席から精一杯の拍手を送った。
もちろん、ほかの観客も・・・指揮者が振り向くか振り向かないかのうちに、オーケストラシートの観客の多くが立ちあがった。
standing ovationのため・・・ではなかった。
彼らは深々と礼をする指揮者(たぶんフランス人)に背中を向けて、さっさと出口に向けて殺到しだしたのだ。
指揮者はステージを去る。楽団はまた椅子に腰掛ける。
そして、指揮者がまた現れ、彼らは楽団に起立を促して、また礼をする。
そして、また指揮者はステージを去る。それを見て楽団員はとまどった様子で、また椅子に腰掛ける。
再三、指揮者がステージに上がり、また楽団に起立を促し、礼をして、そそくさと去る。
楽団員は互いに顔を見合わせながら、また椅子に腰掛けるが、客席のライトが点き、それを見て楽団員も三々五々楽譜をまとめてステージを下がっていく。
クラシックのコンサートの終わりは、こういうものなのだろうか・・・
なら、いいのだけど。
指揮者が怒っていたのでなければ・・・
本当はプログラムに載っていない演目を用意していたのだけど、たった5分や10分の拍手を惜しんで背中を向ける不躾な聴衆に聞かせる音楽はないと判断して、打ち切ったのでなければ・・・

チケットに対価を払っていないからこそ、守らなければならない礼節がある、と考えるのは、余りにも日本的な考え方かもしれない。
でも、精魂込めた演奏を披露し、聴衆に深々と礼をする演奏者に、背中、いや、ちょっと下品な言い方かもしれないけど、お尻を向けるのがAmerican wayなんだろうか?

もちろん、惜しみない拍手を送っている人たちもたくさんいたから、席を立った人たちだけをもってアメリカ云々を語るべきではないのかも知れない(日本人だって、一部の心ない日本人があたかも日本全体を代表するかのように言われると心外だろうし)。

でも、一人や二人の問題、個人的な問題ということもできない。
言葉の問題だけではなく、やっぱりここは異国なんだ・・・
by 47th | 2004-07-31 02:46 | Impressions


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