成田から約12時間のフライトを終えると、昔の有名な大統領の名前をとった国際空港に到着する。
入国手続を済ませ、手荷物を受けとり税関を無事通過すると空港のコンコースに出る。コンコースの人混みをすりぬけ、案内板を頼りにタクシー乗り場を探そうとするのだが、、、これが、分かりにくい。案内板を見上げながら矢印の方向に進んでいったら、突然、タクシー乗り場を示すものが見当たらなくなったりしてきょろきょろしていると、妙に親しげに、おそらくはヒスパニック系の、恰幅よくひげを蓄えた親爺が近づいてきて、「タクシーを探しているのか」なんて言うので、「そうだ」というと、"
OFFICIAL"と書いた身分証明書を示しながら、「連れていってやる」なんてことを言ってきた。
ちょっと胡散臭いとは思いつつ、荷物もたくさんあり、タクシー乗り場も見当たらないところで、一応、"
OFFICIAL"なんて大きく書いた身分証明書を持ってたりするから、ついつい言うがままについていってしまった。
この親爺がなかなか話がうまく、こっちが「本当にOFFICIALのYellow Cabか?」なんて尋ねると、「Yellow Cabというのは、タクシーの色で判断するんじゃなくて、OFFICIALの認可を受けているかどうかで決まるんだよ」なんて、いかにも親切に教えてやっているという風に話すし、空港の職員にも"Hi"とか挨拶してるから、何だかそういうものなのかな、と、思いはじめたりしたのだが・・・行き着いた先は駐車場にとめてある黒のキャディラック。どこにも、TAXIの表示もない。
親爺はいそいそとトランクを開け、荷物を積み込もうとする。
さすがにここに来て、「これはやばい」と感じて、「やっぱりやめる」というと、また"
OFFICIAL"なんだから大丈夫、だとか、今日はタクシーがなかなかつかまらないとか色々言い出して、引きとめにかかる・・・けど、ここまで来ると、必死で引きとめようとするほど、怪しさが強くなるから不思議なもので、語学力の不足も手伝って「黄色い色のタクシーが好きなんだ」とか、さっきはNYは2回目だとか言っておきながら、「初めてのアメリカだから、慎重にいきたい」とか、我ながら余り理由になってないことを言って、ともかくお断り。
親爺は不満そうだったけど、それでも駐車場から空港に戻る途中でカートで段差を超えるのを手伝ってくれたりはしてくれた。
結局、タクシー乗り場は空港の外の車の乗降用プラットホームの一番端の方にあったのだが、全然Yellow Cabが来ない。いつの間にか、ぼくらの後ろには列ができているし(しかも、何故か日本人ばっかり。。。)、そこでも、空港職員が少し目を離していると、白タクが寄ってくるし・・・無事黄色いタクシーに乗れたのは、それから15分後ぐらいだった。